
「衣・食・住」日々の生活の中で、私の好きなもの事をご紹介しています。
時には身勝手な自慢話、時には耳より情報、時にはつまらぬウンチク話・・・
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◆ 治兵衛さんの《くり盆》
/ 2004年 10月
いよいよ、秋本番・・・。
食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、芸術の秋。 爽やかな秋晴れの下、様々なイベントの多い月ですね。私も、お茶会をはじめ、生徒さん達(陶芸家、画家、書道家、学芸員の方たち)の作品展が各地で催され、どの方の作品も拝見したい!と、あちらこちらへ“忙しい月”です。
今回、ご紹介したいのは、《村瀬治兵衛さんのくり盆》です。
治兵衛さんは、根来や独楽と得意とされる塗師、木地師で、私の茶道の師とご懇意になさっておられる事から、先生をはじめ先輩の諸先生方は、棗、香合、菓子器、炉縁などの茶道具はもとより、お椀やお盆など、治兵衛さんの作品を多く所持し、愛用しておられます。
そんな中で、私がいただいている作品は、この《くり盆》のみ・・・
汲み出しをのせて“お盆”としての使用は勿論ですが、八寸ものを盛り合わせたり、葉蘭を敷いてお寿司や炊き込みご飯を入れても、よく、映えます。また、塗り物なのに、油に強く、揚げ物を盛り込んでも豪華な演出が出来ます。
「ナイロンのタワシやスポンジを使わず、亀の子タワシと布でお手入れして、どんどん使い込んでやって下さいね。」と、奥様からの使用説明。
また、木を横に取る(つまり輪切り)のではなく、盆の直径分を縦に取って削り、くり抜いてゆく。当然、一本の木から摂れる数量が少なくなってしまうけれど、だからこそ長年、使い続けても、反ったり、割れたりしないのです。と、治兵衛さんよりご説明を受け、「なるほど!」と、妙に納得した事を覚えています。
確かに、シンプルで使いやすく、装飾的ではないのに味わいがあり、使い込むにつれ、その味わいは深みを増しているようで・・・大事にしているお盆です。
また、ちょうど10月15日(金)から一週間、大阪の“ギャラリー堂島”さんで、作品展が行われているようです。折角、ご案内を頂戴しましたが、残念ながら今回は伺えそうにありません。
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