「衣・食・住」日々の生活の中で、私の好きなもの事をご紹介しています。
時には身勝手な自慢話、時には耳より情報、時にはつまらぬウンチク話・・・
ご感想、ご意見など、お寄せ下されば嬉しく存じます。

 

◆ 塗香と塗香入れ / 2008年 2月

 

《塗香(ずこう)》というものをご存知でしょうか? 非常に粒子の細かい粉末状のお香で、僧侶達が《塗香入れ》に入れて携帯し、体に塗って邪気を払い身を清めるために用いられるお香だそうです。

実は私も去年の秋から、これを常にバックの中に入れて持ち歩いています。 神社仏閣にお参りする前に、人と出会う前に、外出先で嫌な事があった時に、自分の車や新幹線や飛行機に乗る時に、あるいは来客時に玄関に振り撒いたりして… 様々な場面に登場します。 お香は邪気を払いその場の気を浄化するためのものです が、香木や線香のように火や灰を必要とせず、また匂い袋のように単なる香りでもなく、携帯して身につけることができるお香は、とても便利で重宝です。

直径4センチほどの丸い黒檀の入れ物の側面についた蓋を開けて粉末状の香を入れます。 上部についた七味や山椒入れのような小さな栓を開けて、中のお香を振り出して使います。

これを教えてくれたのは、横浜在住の学園の先輩です。  彼女も和装で過ごすことが多い人で、私と出会う時は和服がほとんどです。 いつも良いお香の香りが漂い、日本女性らしい“たしなみ”だと感じていました。 彼女は以前よく帯の間に匂い袋をしのばせていたので「どこのお香を使ってるの?」と尋ねたら、「良いものを見つけたの」とバッグの中からこの《塗香》を取り出し、「貴女に会う前にこうして塗ったのよ」と、小さなキャップのような栓を抜き、まるで香水をつけるように耳の後ろに指を当てたのです。

ちょうどその足で銀座に出た私は、早速に鳩居堂さんでこの《塗香》と《塗香入れ》を買い求めました。(笑)  ちなみに鳩居堂さんでは「浄め香」と「浄め香入れ」という名称でした。 これを、花木さんが作って下さった小さな巾着袋に入れて大切に持ち歩いています。 2月3日、節分は花木さんのご命日でもあり、毎年毎年… 節分、立春を迎えると私を娘のように応援して下さった花木さんのことを想います。 当然ですがお店によってお香の香りも様々ですし、このような巾着までセットで販売しているところもあるようです。