「衣・食・住」日々の生活の中で、私の好きなもの事をご紹介しています。
時には身勝手な自慢話、時には耳より情報、時にはつまらぬウンチク話・・・
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◆ 松栄堂の《南薫》 / 2003年 11月

二十代のころ、私は、一時期《香水》に凝っていて周囲の人から「鼻が悪いの?」と言われるほどに、《香水》をプンプン漂わせていました。今まにして思えば、随分、傍迷惑な事でした。もちろん、料理やお菓子の仕事を始めてからは、一切、そういった香りを身につける事はなくなりました。

ただし今も、着物の香りは別で和ダンスの開閉の度、ふわり と香る《お香》には、何とも云えぬ奥ゆかしさを感じます。

茶道の中にも、《お香》は大切な存在です。以前から是非学びたいものに、香道と陶芸があり、あの雅な世界にずっと憧れています。

私に限らず、香りを愉しむ事はブームのようですが、私の一番好きな《お香》は、松栄堂さんの《南薫》という線香です。 この《南薫》を知ったのは今から二十年も前の事です。ご縁があって、かの京都の俵屋旅館にお茶のお稽古に伺っていた時のことでした。日中のお稽古を終え、ある日、お客様をお迎えする準備を見学させて頂くことにしました。“お迎え”の仕上げに取り出されたのが、この《南薫》だったのです。長いお線香を惜しげもなく広いお部屋いっぱいに焚き染められて・・・ 漂う香りに、さすが・・・と、感動したことを今でも鮮明に覚えています。その時からずっと、この《南薫》の香りが大好きです。

最も この《南薫》、 私にとっては今なお、とても高価なものなのですが・・・